このページの要点
- 権利者の根拠は商標権・不正競争・著作権の三つ。差止請求の相手方は侵害する者で、まず出品者が相手方になる(商標法36条、著作権法112条、不正競争防止法3条)。
- 窓口は、権利の証明・対象の出品・侵害の理由をそろえて受け付け、受付から結果の通知までの流れを内部で決めておく。
- 非表示(暫定措置)と削除(最終判断)を分け、出品者に反論の機会を与える。定型約款の不当条項(民法548条の2第2項)や消費者契約法8条・10条にも注意する。
- 運営者の責任は、知った後の対応(民法709条)、運営者自身の行為、売主と誤認させる外観(会社法9条・商法14条)で分けて考える。出品者の情報提供は個人情報保護法27条に沿う。
結論:権利侵害の疑いのある出品は、窓口・通知・暫定措置・繰り返す人への措置を、起きる前に決めておく
偽ブランド品、他人の著作物を無断で使った商品、他社の商品名や図柄を紛らわしく使った商品。利用者が自由に出品できる場では、こうした出品が混ざることを前提に運営を組み立てる必要があります。運営者が最初に決めておくのは、侵害があるかどうかの判断そのものではなく、申告をどこで受け、誰に何を通知し、どの時点で何をするか、という手順です。
侵害の成否は、権利の範囲、出品された物の実物、出品者の説明を見比べないと分からないことが多く、運営者が申告を受けたその場で断定するのは容易ではありません。一方で、申告を受けながら何もしなければ、権利者から「知っていながら放置した」と言われる材料になります。反対に、根拠が弱いまま申告を受けるたびにすべて削除すれば、出品者から不当な削除だと言われます。権利者と出品者の両方から挟まれる立場にあることが、この論点の特徴です。そこで、判断の中身ではなく手順を規約と運用の文書に書いておくことが、運営者の備えの中心になります。
- 窓口:権利者が申告する方法と、必要な資料(権利の証明、対象の出品、侵害と考える理由)をあらかじめ決めて公開する。
- 通知と反論の機会:申告を受けた出品の出品者に、措置の内容と反論の方法を知らせる。反論を受ける期限と方法も決める。
- 暫定措置:判断が出るまでの非表示などを、削除とは別の措置として規約に位置づける。
- 繰り返す人への措置:同じ出品者が繰り返すときの段階と、再登録を拒む根拠を決める。
- 記録:申告を受けた日時、調べた内容、判断の理由、通知の内容を残す。運営者が責任を問われる場面では、知った後にどう動いたかが見られる。
このページが扱うのは、物品の模倣品や権利侵害品の出品です。投稿された文章や画像の削除依頼、発信者情報の開示請求の手続は、別のガイドで扱います。出品を禁止する物の分類そのものは禁止出品物ガイドラインの作り方のページで整理しており、ここでは、その分類の中の「他人の権利を侵害する物」に申告が来たときの動きに絞ります。
権利者が使う法的な根拠を、運営者の目で整理する
権利者が出品の取下げを求めるときの根拠は、おおむね三つに分かれます。商標権、不正競争防止法、著作権です。運営者は権利の専門家である必要はありませんが、申告の文面がどの根拠に立っているのかが分かると、必要な資料を求めやすくなり、出品者への通知も具体的になります。
権利者が主張する根拠と、運営者に関わる点
| 根拠 | 主な条文 | 権利者が求めること | 運営者に関わる点 |
|---|---|---|---|
| 商標権 | 商標法25条(登録商標の使用を専有)、36条(差止請求)、37条(侵害とみなす行為) | 侵害の停止または予防、侵害の行為を組成した物の廃棄など(36条)。損害賠償も別に問題になる | 登録商標に類似する商標の使用や、類似する商標を付した商品を譲渡のために所持する行為も、侵害とみなされる(37条1号・2号)。出品者が売る目的で持っているだけでも問題になり得る |
| 不正競争 | 不正競争防止法2条1項1号(周知な商品等表示の混同惹起)・2号(著名な商品等表示の使用)、3条(差止請求)、4条(損害賠償) | 紛らわしい表示の使用の停止、廃棄、損害賠償 | 同一・類似の商品等表示を使った商品を、電気通信回線を通じて提供する行為も条文に挙がっている(2条1項1号・2号)。商標登録がなくても主張され得る |
| 著作権 | 著作権法21条(複製権)、23条(公衆送信権)、112条(差止請求)、113条(侵害とみなす行為) | 侵害の停止または予防、侵害品や侵害に使った機器の廃棄など(112条) | 無断で複製した図柄を付けた商品や、他人の写真・イラストを無断で使った出品画像が典型。侵害によって作成された物を情を知って頒布する行為なども、侵害とみなされる(113条1項2号) |
| 輸入品 | 関税法69条の13 | 権利者が税関長に、侵害すると認める貨物について手続をとるよう申し立てる | 運営者が行う手続ではないが、海外から発送される出品が多い場では、権利者が税関への申立てと並行して申告してくることがある |
三つの根拠のうち、差止請求の相手方として条文に出てくるのは、「侵害する者」または「侵害するおそれがある者」です(商標法36条1項、著作権法112条1項。不正競争防止法3条1項は、営業上の利益を侵害する者または侵害するおそれがある者)。商品を売っている出品者が、まず第一の相手方になります。運営者が相手方になるのかどうかは別の問題で、後の見出しで整理します。
また、申告された商品が本物かどうかが争点になることも、本物を仕入れて転売しているだけだと出品者が主張することもあります。権利者の申告には、商品の写真や型番のどこを見れば本物と区別できるかの情報を添えてもらうと、運営者の側でも調べやすくなります。申告があるからといって、直ちに侵害と断定する書き方は避けます。
条文の要点メモ(権利侵害と刑事の位置づけ)
- 商標法37条侵害とみなす行為として、類似する商標の使用、類似する商品への商標の付与、侵害品の譲渡・引渡し・輸出のための所持などが挙がっている
- 商標法78条商標権または専用使用権を侵害した者は、十年以下の拘禁刑もしくは千万円以下の罰金に処せられ、または併科される。37条によるみなし侵害行為は、この条の括弧書で除かれ、別の規定で扱われる
- 著作権法119条1項著作権などを侵害した者は、十年以下の拘禁刑もしくは千万円以下の罰金に処せられ、または併科される(私的使用目的の複製などは除かれる)
- 不正競争防止法4条故意または過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、損害を賠償する責任を負う
- 関税法69条の13商標権者や著作権者などが、侵害すると認める貨物について、税関長に手続をとるよう申し立てることができる
刑事上の罰則が重いことは、運営者が出品者の行為を放置してよい理由にはなりませんが、運営者が判断を誤っても許されるという意味でもありません。罰則の存在は、権利者が申告に至る事情の背景として知っておく程度にとどめ、運営者の側では民事上の手順の整備に力を入れます。
申告窓口を作る:受け付ける項目と、受付から措置までの流れ
窓口は、メールアドレスを一つ公開するだけでは機能しません。申告が不完全だと運営者が追加の資料を求める往復が続き、その間は出品が残ります。反対に、項目を絞りすぎると、権利者が必要な情報を出せず、申告そのものが受け付けられないという不満が生じます。入力項目は、権利者が通常持っている資料で埋められる範囲にそろえておきます。
申告フォームに入れる項目の見直し
- 申告者の氏名または名称、連絡先。代理人が申告するときは、代理権を示す資料の添付欄。
- 権利の種類(商標、著作物、商品等表示のいずれか)と、権利を特定する情報(登録番号、著作物の題名や公表の経緯など)。
- 対象の出品を特定する情報(出品の識別番号または表示ページ)。複数の出品をまとめて申告できるかも決めておく。
- 侵害と考える理由。どの表示や図柄が、権利のどの部分と同一または類似なのかを書いてもらう。
- 本物と見分ける手がかり(型番、タグ、刻印、付属品など)。出品者が真正品と主張したときの判断材料になる。
- 申告内容が正確であることの確認と、虚偽の申告があった場合の取扱いへの同意。
- 出品者への通知に、申告者の名称を含めてよいかの選択。
受付後の流れは、権利者にとっても出品者にとっても、いつ何が起きるのかが予測できるように決めておきます。運営者の内部の担当者が替わっても、同じ順序で動けることが大切です。
受付から措置までの流れの例
- 申告の受領と受付記録受け付けた日時、申告者、対象の出品を記録する。申告者に受け付けた旨を返信する。同じ出品への重複する申告は一つにまとめる。
- 申告の形式確認必要な項目がそろっているか、権利を特定できるかを確認する。不足があれば、不足の内容と期限を示して補正を求める。
- 出品の調査出品ページの表示、画像、出品者の過去の出品、出品者の説明を確認する。判断に迷う場合の確認手順を、運営者内部の手順として別に決めておく。
- 暫定措置の判断侵害のおそれが明らかに高いときは、結論が出るまで出品を非表示にする。非表示は削除とは異なる措置として扱う。
- 出品者への通知対象の出品、措置の内容、申告の概要、反論の方法と期限を通知する。
- 反論の受付と検討出品者から真正品である旨の資料や、権利者の許諾を示す資料が出たときは、申告者にその概要を伝え、意見を求める。
- 判断と措置削除、非表示の維持、出品の再開、出品者への警告のいずれかを決める。理由を記録に残す。
- 結果の通知申告者と出品者の双方に、結果と今後の対応を知らせる。出品者に対する個別の措置の詳細は、申告者に伝えない。
一部の段階を省略できる場合(出品者が自ら出品を取り下げたとき、など)も、記録だけは残します。
出品者への通知と反論の機会、暫定措置の書き方
権利侵害の疑いがあるときの措置は、規約に根拠がなければ運営者が出品者に対して行う行為の説明がつきません。出品者との間の利用契約は、運営者が準備した画一的な条項の総体として、民法の定型約款に当たることが多く、相手方の利益を一方的に害する条項は、合意をしなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)。出品者が消費者に当たる場合は、事業者の損害賠償責任の全部を免除する条項や、故意または重大な過失による場合の責任の一部を免除する条項は無効とされ(消費者契約法8条1項)、消費者の利益を一方的に害する条項も無効です(同法10条)。出品者が事業者の場合には消費者契約法は適用されませんが、「一切の責任を負わない」と書いた条項が信義則の面で問題にされる余地は残ります。
実務でよく見られるのは、「事前の通知なく、理由を示さず、いつでも出品を削除でき、これによる損害の責任を負わない」という書き方です。運営者の自由度は高いものの、誤って正当な出品を削除したときに、出品者との間で全く説明ができない書き方になります。暫定措置と最終判断を分け、通知と反論の機会を入れるほうが、権利者に対しても出品者に対しても、運営者の対応の筋道が見えます。
書き方の例(一般的な例) 権利侵害の疑いがある出品への措置
措置の根拠
理由措置の目的と手順が書かれていると、権利者にも出品者にも、運営者の動きが説明できる。非表示と削除を分けることで、誤りがあったときに出品を戻せる。
責任の所在
理由保証と費用負担は出品者に置きつつ、運営者の責めに帰すべき事由がある場合を免責の外に出しておくと、消費者契約法8条の問題が小さくなる。
反論がないとき
理由反論の期限と通知の方法を書いておくと、出品者の「連絡を受けていない」という主張に対応しやすい。起算点も明記する。
条文例権利侵害の申告を受けたときの措置
- 当社は、第三者から出品が自己の権利を侵害する旨の申告を受けたとき、または出品が第三者の権利を侵害するおそれがあると当社が合理的に判断したときは、当社所定の方法により調査を行い、調査の間、当該出品を非表示にすることができる。
- 当社は、前項の措置をとったときは、遅滞なく、出品者に対し、対象の出品、措置の内容、申告の概要および反論の方法を通知する。
- 出品者は、前項の通知を受けたときは、通知に定める期限までに、出品物が当該権利を侵害しないことを示す資料を添えて、反論を提出することができる。
- 当社は、調査の結果、権利を侵害すると判断したときは、出品を削除し、出品者に警告その他の措置をとることができる。侵害しないと判断したときは、出品を再開する。
- 当社は、前各項の判断について、その理由を申告者または出品者に開示する義務を負わない。ただし、当社の故意または過失により出品者に損害が生じた場合は、この限りでない。
書き方の例(一般的な例)です。期限の日数は「所定の日数」と伏せています。理由の開示義務の有無や、損害が生じた場合の除外の範囲は、サービスの運用と利用者の種類(消費者を含むか)に合わせて決めます。
運営者が責任を問われる場面を見分ける
運営者は、通常、出品物の売主ではなく、出品者と購入者の取引の場を提供する立場にあります。それでも、運営者が責任を問われる経路がまったくないわけではありません。どの経路で問われるのかを分けて考えると、規約と運用の備えが具体的になります。
第一は、一般の不法行為責任です。故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負います(民法709条)。権利者から具体的な申告を受け、侵害を疑うべき事情が明らかになったにもかかわらず、相当の期間何もしなかった場合に、運営者の過失が問題にされる構造です。何日放置すれば過失かという一般的な数字はなく、申告の具体性、侵害の明白さ、運営者の体制から個別に判断されます。個別の裁判例の評価は、ここでは取り上げません。
第二は、運営者自身の行為が侵害と評価される場面です。たとえば、運営者が出品物の画像を広告や特集ページに転載したり、運営者が商品を自ら仕入れて販売したりする場合は、場の提供者という立場から外れます。権利者の申告が多い商品を特集に使うときには、事前に権利の面を確認する体制が必要です。
第三は、売主が運営者であるかのように見える外観です。自己の商号を使用して営業または事業を行うことを他人に許諾した会社は、その会社が事業を行うものと誤認して取引した者に対し、その他人と連帯して債務を弁済する責任を負います(会社法9条、商法14条)。出品ページが運営者の名称で統一され、売主が誰かが分かりにくい表示になっていると、購入者が運営者を売主と誤認する場面を作りかねません。この条文が運営者に適用されるかどうかは、表示の実態や個別の事情により判断されるため、条文と判例の確認が必要です。
権利者・出品者・運営者の間で動くもの
- 権利者運営者申告(権利の資料、対象の出品、侵害の理由)
- 運営者出品者通知(措置の内容、申告の概要、反論の方法と期限)
- 出品者運営者反論(真正品である資料、許諾を示す資料)
- 運営者権利者結果の通知(措置をとったか。出品者の個別の事情は伝えない)
- 権利者出品者差止請求・損害賠償請求(権利者が自ら行う。運営者は当事者ではない)
運営者が出品者の氏名や住所を権利者に伝えるかどうかは、個人情報の取扱いの問題として別に整理します(後の見出し)。
運営者への責任追及が出やすい場面と、規約・運用の備え
| 場面 | 問われ得ること | 備え |
|---|---|---|
| 申告を受けたのに長期間放置した | 申告の時点で侵害を知っていたとして、不法行為の過失が主張される | 受付から判断までの目標期間を内部で決める。滞留している申告を定期的に確認する |
| 申告を鵜呑みにしてすべて削除した | 出品者から、正当な出品の不当な削除として債務不履行などが主張される | 暫定措置と最終判断を分ける。出品者に反論の機会を与え、判断の理由を記録する |
| 運営者の名称で売主が分かりにくい | 購入者が運営者を売主と誤認し、売主としての責任を求める | 売主が出品者であることを商品ページと注文確認画面の目立つ位置に表示する |
| 運営者が出品画像を広告に使った | 運営者自身の複製・公衆送信として著作権侵害を主張される | 出品者から広告利用の許諾を取る条項を置く。許諾のない画像は使わない |
情報流通プラットフォーム対処法には、特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されたときに、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任を制限する規定(3条)があります。ただ、物品の出品ページの情報がこの法律の「特定電気通信」の対象となる範囲や、免責が働く要件の当てはめは、別のガイドで扱う手続と一体で検討する必要があるため、このページでは扱いません。運営者が当事者間の紛争にどこまで介入するかという一般の考え方は取引トラブルになったときのページで、規約全体での運営者の立場の書き方は運営者がそろえる規約と書類のページで整理しています。
繰り返す出品者への措置と、権利者との情報のやり取り
模倣品の出品は、同じ人が繰り返す傾向があります。一度削除されても、新しいアカウントを作って出品を再開する例が多いためです。運営者としては、一回ごとの出品を処理するだけでは追いつかず、繰り返す出品者への措置を段階として用意しておく必要があります。一般的な違反への措置の段階の組み立て方は出品者規約の作り方のページで扱いますので、ここでは模倣品に特有の点に絞ります。
- 同じ出品者かどうかの見分け:複数のアカウントを作って出品を続ける場合に備え、同じ氏名、住所、振込先口座、端末の情報などの一致を、不正利用の防止という目的で取り扱うことを、利用目的として定めて公表しておく(個人情報保護法17条、21条)。
- 再登録の拒否:過去に模倣品の出品でアカウントを停止された者の再登録を拒むことがある旨を、規約と登録画面に書いておく。
- 売上金の扱い:模倣品の売上金を保留する場合は、保留できる場面、期間、解除の条件を、規約に具体的に書く。曖昧な書き方では、出品者との間で別の紛争を生む。
- 権利者への結果の通知:繰り返す出品者であっても、出品者個人を特定する情報は、権利者に伝えない前提で書いておく。
権利者から、出品者の氏名や住所を教えてほしいと求められることがあります。運営者が保有する出品者の情報は、特定の個人を識別できる個人データであることが通常で、本人の同意がなければ第三者に提供できません。ただし、法令に基づく場合などは例外です(個人情報保護法27条1項)。申告窓口の案内には、「出品者の情報は、原則として提供しない。法令に基づく手続による場合を除く」と書いておくと、運営者の対応の枠が権利者にも伝わります。
また、権利者のブランド側から、模倣品の情報提供を継続的に受ける取決めを結びたいという申出があることもあります。この場合に取り決めておくのは、受け取る情報の範囲、運営者が確認する手順、誤った申告があったときの扱い、取り決めた内容の秘密保持です。取決めがあることで、他の権利者からの申告が後回しにされるように見えないよう、受付の順序は申告の種類にかかわらず記録の順で処理する、という運用の線も決めておきます。
確認の問いと理由模倣品・権利侵害の対応を整えるための確認の問い
権利者が申告するときの窓口と必要な資料は、利用者に見える場所に公開されているか。
窓口が見つからないと、権利者は別の手段(直接の請求や外部への告知)に進み、運営者の対応が遅れた印象を与える。
暫定措置としての非表示と、最終判断としての削除は、規約で別の措置として書かれているか。
両者が同じ扱いだと、誤りがあったときに出品を戻す根拠が弱くなる。
出品者への通知に、反論の方法と期限が含まれているか。
反論の機会の有無は、出品者との間の紛争で運営者の対応の相当性を示す中心の材料になる。
判断に迷う出品の確認手順と、判断理由の記録の残し方は決まっているか。
担当者によって判断が分かれると、同種の申告への対応にばらつきが出る。記録は、後から運営者の過失の有無が問われたときの根拠にもなる。
出品者の情報を権利者に伝えるかどうかの線は、窓口の案内と社内の手順で一致しているか。
個人データの第三者提供は、窓口の担当者が個別に判断しないよう、あらかじめ決めておく。
問いの答えを書き出してみて、規約の条文・窓口の案内・社内の手順のどこにも書かれていない項目があれば、その部分が抜けです。
起きがちなこと
模倣品・権利侵害への対応で起きがちなこと
- 申告窓口が分かりにくく、権利者が運営者のどの連絡先に送ればよいか分からないまま、別の手段に出られる。
- 申告があった出品を、調べないまま出品者の説明だけで再開してしまう。または、反対に、申告のたびに即時削除して、出品者から不当な削除と指摘される。
- 通知に反論の期限がなく、出品者が「いつまでに何を出せばよいのか分からなかった」と主張する。
- 申告者の名称を出品者に伝えたことで、権利者と出品者の間に新しい対立が生まれる。通知に申告者名を含めるかどうかを決めていなかった。
- 出品者の氏名や住所の開示を求められたとき、担当者がその場で判断して応じてしまい、個人情報の取扱いの問題になる。
- 再登録を拒む根拠が規約になく、停止した出品者が名前や口座を変えて何度も戻ってくる。
- 運営者の名称が前面に出た画面で、売主が出品者であることが分かりにくく、購入者が運営者に責任を求める。
よくあるご質問
権利者から申告を受けたら、すぐに出品を削除しなければなりませんか。
申告を受けた時点で削除を義務づける一般の定めがあるわけではありません。侵害のおそれが明らかに高い場合には、調査の間の暫定措置として非表示にし、出品者に反論の機会を与えたうえで最終判断をする、という二段階の手順が、運営者にとっても権利者・出品者にとっても説明しやすい方法です。非表示と削除を区別して規約に書いておきます。
出品者が「本物の転売だ」と主張した場合、運営者はどう判断すればよいですか。
運営者が真贋を最終的に確定する必要はありません。出品者から仕入れの経路を示す資料などを出してもらい、その概要を申告者に伝えて意見を求め、双方の資料から運営者の方針に従って判断します。判断に迷う場合に備えて、確認の手順と判断の理由を記録に残しておきます。
権利者に出品者の氏名や住所を教えてもよいですか。
出品者の氏名や住所は個人データに当たるのが通常で、本人の同意がなければ第三者に提供できません。ただし、法令に基づく場合などは例外です(個人情報保護法27条1項)。窓口の案内には、原則として提供しない旨と、法令に基づく手続による場合を除く旨を書いておき、担当者が個別に判断しないようにします。
運営者は、出品者の侵害について損害賠償責任を負いますか。
一律に負う、または負わない、とは言えません。権利者から具体的な申告を受けながら相当の期間放置した場合には、一般の不法行為責任(民法709条)の過失が問題にされ得ます。運営者自身が侵害に関与した場合や、売主と誤認させる表示をしていた場合は、別の経路で責任が問われ得ます。規約の免責だけに頼らず、知った後の対応の記録を残すことが備えになります。
同じ出品者が何度も模倣品を出品してくるときは、どうすればよいですか。
一回ごとの削除だけでなく、繰り返した場合の措置を段階として規約に書いておきます。同じ出品者かどうかを見分けるための情報を、不正利用の防止という利用目的に含めて公表しておくこと、再登録を拒む場合がある旨を規約に書いておくこと、売上金を保留する場面と期間を具体的に書いておくことが、実務上の要点です。
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本ページは一般的な情報提供です。個別のサービスへの当てはめは、取引の仕組みや利用者との合意の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 金融庁 / 警察庁 / 経済産業省